土蜘蛛　その3

国立能楽堂で、
「ユネスコによる第一回世界無形遺産の宣言を記念して」
と銘打った舞台を見てきました。
行ったらヒトが少なくてびっくり。
宣伝足りなかったのかな。
土蜘蛛マニア少ないのかな＜違。

今日も金剛流、小書きは千筋之伝。
シテは金剛永謹さん、ワキが宝生閑さん。
宝生閑さんは結構ファンだったりします(笑)。
こないだ宝生の月並能に行ったときも、
三山でワキだったんですよね。
ふふふ。

それはさておき、
毎回恒例の！？蜘蛛の糸の数はっ！
前場は8個、後場は13個！（たぶん）
そして、前場の最後の1個は揚幕から別のヒトが投げていた！
後場には糸後見（勝手に命名(爆)）のヒトが三つ投げてた！
…中正面から見ていたので、微妙に数違うかもですが、
今回は5万円コースくらいだったかもです（謎）。
すごかった。
シテもワキも、足元真っ白でした。

で、先日の明神能では、半畳台で、しかも中入りのときに片付けられてしまいましたが、
今回はちゃんと一畳台で、大小前にセットしなおしてました。
そして緑の塚がちゃんと上にのって。

…

でも、最後に蜘蛛がやられてしまうとき、
なんだかとっても悲しかったです。
これで4回目の土蜘蛛ですが、
こんなに切ない？キモチになったのは始めてでした。
最後に力つきる、というのが思い切り伝わってきて、
「あ、蜘蛛やられちゃうよ、もうだめだよ」
そのときはワタシはもしかすると蜘蛛を応援していたかもです。
ヤマト朝廷に弾圧された先住民族のことを思い出したからかもしれません。
…そこが能、って凄いんだよね。
だって、蜘蛛やっつけて、めでたしめでたし、なら、
頼光や独り武者が主人公になりそうなのに、
シテは蜘蛛なんだもの。
だから、これは、やっぱり、めでたしめでたしの能でも、
ただのバケモノ退治の能でもなくて、
そのバケモノといわれたひとびとの悲しい能なんだよね。
…
能、その前は猿楽をやっていた役者さんたちは、
世間ではとても低い地位にやられて、蔑まれていたけれど、
そういうときの思いもあるのかもしれないと思いました。
…蜘蛛、かわいそうでした。
…土蜘蛛見てうるっとくるなんて、思いませんでしたよ。

また土蜘蛛を見に行こう。
でも来月は大江山を見に行くつもりです。
…また泣くかなあ…

あ、今日のアイは大蔵流。
「もどるぞもどるぞ」でした。
次は和泉流でもう一度確認したいです(笑)。